Aprile, dolce dormire.
こんにちは!若草の萌える春うらら、いかがお過ごしですか?イタリアでは復活祭のバカンスも終わり、春も本番です。温かな陽が心地よく、今まで家にこもりがちだった人々もハイキングに出かけたり、広場やカフェのテラスでおしゃべりに花を咲かせたりと、外で過ごすことが多くなってきました。
そんな春は、まさにdolceな季節。dolceと聞くとついつい美味しいスイーツのことで頭がいっぱいになってしまいがちですが、この形容詞は古くから詩の中でも使われてきた雅な言葉で、「甘い」という味覚のほかにもたくさんの美しい意味を持っています。ヴァイオリンの甘美な調べil dolce suono di un violino、シエナのなだらかな丘陵地帯le dolci colline senesi、のんびりと過ごす贅沢な無為il dolce far niente、愛情に溢れた眼差しuno sguardo dolceといった具合です。そして、穏やかな暖かい春風un dolce zefiroや、うららかな春の日にウトウトと誘われる眠気un dolce sonnoなどなど、温暖な春はdolceでいっぱいです。
Andiamo a fare merenda in campagna? そんな穏やかな春の日にイタリア人が愛して病まないことの一つが、友だちや家族と郊外へ出かけてピクニックをしたり、大自然に囲まれたバールやトラットリアなどで軽食を楽しんだりする時間。お茶やコーヒーと一緒に甘いお菓子dolciを食べたり、早めのハッピーアワーさながら、ブルスケッタやチーズや生ハムなどをおつまみにワインを飲んだりしてゆったりと午後のひと時を過ごします。
郊外へ足を伸ばすことができない平日は、町中のバールやカフェのテラス席が春を楽しむ特等席。会社や大学の終わる5時ごろになると、たくさんの人がハッピーアワーaperitivoに集い、羽を伸ばします。バールのカウンターに並ぶ無料のおつまみに舌鼓を打ち、気心のしれた仲間とのおしゃべりに興じながら口にする冷えた一杯。夕方の心地よい風に吹かれながらaperitivoを堪能する人々で賑わうバールのテラス席は、まさに春から夏にかけての風物詩です。
Aprile, dolce dormire e forte sospirare; i granai sono vuoti e le botti cominciano a sonare. 春眠が暁を覚えないのは古今東西の常のようですが、あとで深いため息をつかないように仕事にも勉強にもしっかり励みつつ甘い季節を堪能いたしましょう!
*当記事は2013年4月23日付けで、公益財団法人 日伊協会のサイトで紹介されています。