カモミール畑をお手本に

Come fa un tappeto di camomilla

こんにちは。秋もだいぶ深まってまいりました。皆さん、お元気にお過ごしでしょうか?イタリアは夏時間もついに終わり、いよいよ本格的に冬支度に入ります。秋の夜長にピッタリ(!?)のハーブということで、今回はヨーロッパ最古の薬草とも言われるカモミールについてお便りしたいと思います。

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カモミールcamomillaは一部のキク科の植物の総称です。とりわけ有名なのは、ジャーマンカモミールとローマンカモミールの二つ。一年草のジャーマンカモミールは、イタリア語でcamomilla comuneやcamomilla volgareと呼ばれています。もう一方のローマンカモミールは多年草で、イタリアではcamomilla romana、camomilla inglese、camomilla nobileの名で親しまれています。

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日本にカモミールが持ち込まれたのは19世紀初頭。江戸幕府がオランダから取り寄せた薬草の中にカモミールも含まれていたといわれています。当初はオランダ語Kamilleをもとにカミルレ、カミツレ、カミッレなどと呼称にゆらぎがあったようですが、次第に統一されて和名はカミツレ(加密列)となりました。現代の日本ではカモミールの名がより普及しています。

イタリア語camomillaは、ギリシア語のχαμαίμηλονからラテン語chamomillaを経てできた言葉と言われます。もともとの意味は「大地のリンゴ」。カモミールの花が放つリンゴのような香りに由来するようです。

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イタリア語でcamomillaと言えば、植物自体を意味するのと同時にカモミールティーのことも指します。それほど生活に密着しているカモミールのハーブティーは、眠る前に飲むお茶として特に有名です。乾燥させたカモミールの花を煎じたお茶にはリラックス効果があるため、不眠に悩んでいたり、ストレスの負荷が高まっていたりする時にはありがたいお茶なのです。トスカーナ地方では、レモンをちょっぴり垂らしてお砂糖やハチミツを入れて飲みます。

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そのほかにもカモミールには様々な作用があると言われ、4000年以上も前から人類の生活に取り込まれていました。古代エジプトでは聖なる植物として太陽神ラーに捧げられていたほか、マラリアの治療にも用いられていたようです。アラビア文化圏ではリューマチの治療などにカモミールの精油が使われ、また、アングロ・サクソン族の古書によればカモミールは聖なる9植物の中で最も力を持つ薬草でした。

カモミールの花言葉は「逆境に耐える」。イタリアの古い諺によれば、人生とは、踏まれれば踏まれるほど成長し続けるカモミールのように立ち向かうものだとか。今宵は、カモミールティーでリラックスしつつ、明日への力を充電してみてはいかがでしょうか?

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*当記事は2014年10月に、公益財団法人 日伊協会のサイトで紹介されています。